木工において木目を意識する必要がある作業は結構あると思いますが、面取り工程の作業は木目の中で「逆目」を非常に意識します。
ギターの材は基本的に縦方向に木目が通っています。ひょうたん型の形状をしている面取りではギターのエッジにバインディングやパーフリングを施すための溝を切削しますが、トップ材とバック材に溝を切削するときに4回「逆目」部分の切削を行わなければなりません。
「逆目」は切削した跡が「順目」と比べると汚く、そしてとても「欠け」が生じやすいのです。
「欠け」た部分をそのままにして次工程に流しバインディングとパーフリングを巻上げた後、「欠け」が見て分かる状態であれば、不良として戻されます。結局「欠け」た状態で次工程には進められないのです。
ギターのどの部分でも「順目」になるように刃物の回転方向を変えて切削すれば「欠け」は生じないはずですが、設備的、効率的に困難です。
現在の設備で「欠け」を生じさせないためには、刃物がよく切れる状態にしておくということは言うまでもありませんが、それ以外に「欠け」回避の具体的な方法はありません。