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MIDIギター

20年ほど前、タカミネからアコースティックMIDIギターが発売された。ご存じない方のために説明するとギターの駒下にインストールされたピックアップからの音(信号)をMIDI信号に変換し、接続した音源(シンセサイザーなど)から音を出すというしろもので、平たく言うと、ギターを弾くと接続したシンセサイザー等の音源から、ピアノだ、フルートだ、オルガンだの様々な音を出すことができるというものです。パット・メセニーや国内ではジンモさんなんかがその名演奏者として知られています。

これは当時ドイツのピックアップメーカー「シャドー」が作り出したMIDI用ピックアップをタカミネ・ギターにアマウント、シャドーの「MIDIコンバーターGTM6」とセットで売り出されたものである。

これを始めるにあたり、シャドー社からプロトタイプ・ギターとGTM,それにA4用紙1-2枚のシンプルな英語で書かれた説明書が送られてきた。いったいどうしたら音が出るのか1週間も悩み続け、ようやくGTM6の摩訶不思議なサンプル曲にたどり着いた。苦心惨憺し葛藤の末、ギターからシンセサイザーを通して音が出てきたときには、全身に鳥肌が立った。

タカミネからは、海外向けにナチュラルシリーズのMEN10CとナイロンギターのMEC132C、国内向けにMPT118など3種類が発売された。当時はエレキギターによるMIDIと比べて低音部のトラッキングがにぶく、調整に大変苦労した。バグってしまうこともしばしばで、生産出荷は一筋縄には行かなかった。

リーリトナーをはじめ、フィル・アップチャーチ、ジョン・マクラフリンなどに使っていただいた。こうしたスタイル、発想はプレイヤーの使い方やセンスに大きく依存するものでもあり、先のパット・メセニーやジンモさんのように独自のスタイルを築いた偉大なプレイヤーもいるが、使いこなすのがなかなか難しい楽器でした。そんなわけでタカミネ・MIDIギターは、生産後1年ほどで、静かにその幕を閉じました。

このような新しいものへの試みや挑戦がパイオニアとしてのタカミネの役割であり、どの様な場合においても基礎となるギターそのものが、しっかりとできていなければ、成功もなく、またそういったシビアな状況に追い込まれることで、妥協を許さぬ品質向上への成果を上げ乗り越えてきました。技術と研究と鍛錬の成果により今のタカミネがあるのです。

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