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ギター表板に関するお話

今回は、ギターの表板(響板)について書いてみたいと思います。弊社のギターに使用されている、または使用されてきたギターの表板の木材には主に次のようなものがあります。

1.米杉(アメリカン・レッド・シダー)

2.スプルース

3.マホガニー

4.コアウッド

5.メイプル

エレキギターをはじめ世界各国で作られ、発表される新しいモデルやトレンドに合わせて各社様々な木材やあたらしい材料を取り入れていますが、弊社でもこうした試行錯誤を繰り返しながらいろんな材に挑戦してきましたが、やはり上記の5つが代表例といえるでしょう。

 

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1.米杉(アメリカン・レッド・シダー)

産地は米国北部、カナダなど主にロッキー山脈周辺地域。針葉樹で、色は赤褐色。非常に軽くて、やわらかく、目が通り音の響きが良い。レスポンスが良いので、ナイロン弦、クラシックギターでも多用されている。特に高音域での鳴りが良いが、低音域での鳴りはスプルースと比べるとやや劣る。やわらかいが、逆に割れやすく赤いヤニが出てくることがある。環境や温度変化で黒ずんできたりすることもあるが、比較的環境に馴染みやすく温度や湿度の変化には強いといわれている。

 


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2.スプルース 

スプルースにはいくつかの種類があります。アラスカ・シトカ地方産のシトカ・スプルース、米国北西部産のイングルマン・スプルース、米国東部産のアディロンダック・スプルース、ヨーロッパ・ドイツのジャーマン・スプルースなどなど。バイオリンやコントラバス、チェロなども表板にはスプルース(ジャーマン・スプルース)が主に使われています。弊社レギュラーモデルで主に使われているのはシトカ・スプルースです。米杉と比べて硬く、重い材料だが木目が細くまっすぐで色も白いが経年変化で赤褐色になる場合もある。硬い材なので、特にスチール弦の高音の伸びが良く、また低音部の重みも出てくる。

mahogany.jpg 3.マホガニー  

従来は中南米産、特にホンジュラス・マホガニーがギター材としては有名ですが、現在はワシントン条約にて規制されているため、中央アフリカ産のアフリカン・マホガニーなどが多く使用されている。主に胴裏材として使われるが、オールマホガニー使用のモデルも珍しくない。近年では、胴裏材としてサペリ・マホガニーを代用して使用しているメーカーが多い。軽くて加工がしやすく、張りのある艶やかな音色が特徴。



koawood.jpg

4.ハワイアン・コアウッド  

ハワイ原産の美しい木目と杢(フレーム)を持つ木材で、マホガニー同様主に胴裏材として使用することが多いのだが、その美しい木目からウクレレのような表も胴裏もすべてコアというモデルが人気を博している。ハード・ウッドと呼ばれ硬い材質上音質的には、硬質だが響きは非常に良い。

 

 

 

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5.メイプル

カナダディアン・メイプルかヨーロピアン・メイプルが主として使用され、ジャズギターのようなアーチド・トップ&バックで使用されることが多い。コアと同様美しいフレームが特徴で、カーリーメイプルという丸い杢のものも有名である。硬く、加工も難しいが古くからバイオリンやチェロなどにも使われている。レスポンスがよく響きが良い。


 

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こうした材料の中には環境問題を背景に年々入手が困難になりつつあるが、スプルースや米杉などは生きている木を切り倒さず風倒木を利用している。  

弊社では主に海外の材料屋さんから、ギター用に裁断し選別したものを輸入しています。時には、現地に赴いて材料を選び、弊社モデル用にグレードの打ち合わせをし、その打ち合わせに基づいて材料を購入しています。

 

Giant cedar Macmillan Park (Cathedral Grove)  

 

輸入された材料は、資材部担当者(エキスパート!)がこれを選別し、桟積みして乾燥に掛けます。この時点で入荷された板厚さは約5mm程度。その後強制乾燥に掛けられ含水率を落とし、シーズニングを終えたものよりブックマッチ(裁断、スライスし隣り合った2枚の板を本を見開くようにしニカワで接合)して一枚の表板を作ります。                                        

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資材部木部管理のエキスパートの勝 加一さんに表板を選ぶ基準について話を着て見ました。

- 弊社で生産しているモデルに使用している材料基準といいますか、一番重要視している部分というのはどんなところでしょうか? 

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- スプルースや杉の表材は、まず「コシ」があるかを見ます。別の言い方をすれば、「適度に硬くて」「身が締まった材」であるかどうかを見分けるわけですが、まず、材を持ってしならせたりしてコシの具合をしらべます。それと、柾目であることも重要です。いわゆる「追い柾・流れ柾」の材は、あまりコシがありません。目の幅が均一であることと、目がつみすぎていない事、適度な間隔があることなどが非常に大切です。その後タッピングして音の感触を確かめます。(具体的には秘密ですが。)

- 良く工場見学に来られた方に聞かれるのですが、見た目(木目や色)で良く見えるものは音も良くなりますか?

- 柾目杢(まさめもく)の出ているもので、目がつみすぎていなければ、そうでないものと比べて良い音がすると思います。色はあまり気にしていません。「良い音」というのは主観が大いに伴う部分ではありますが、、、。

- 10年前と比べて、木材の品質は良くなっていますか?

- 弊社で使われている材に関しては。10年前と比べて良くなっています。これは仕入れの段階で加工時の材の選別が以前よりシビアになっているからです。現在は環境問題等で、かつてのように贅沢な仕入れは出来ませんが、タカミネギターの材を選んでいることに誇りを感じています。 

環境問題もあいまって年々良い材料の確保が難しくなって行く中、少しでも無駄にせず有効に木の持つ良さを生かし、楽器としての魅力を損なわぬよう材には気を使っているのです。

Spruce Trees and Sky.jpg

スプルースの森

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